県立広島大学 保健福祉学部保健福祉学科看護学コース
松森直美研究室
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小児看護ケアモデルについて

小児看護ケアモデル(PNCM:Pediatric Nursing Care Model)とは

実際の医療の場での参加観察とインタビューによって得たケア場面の中から、医療処置や検査を受ける子どもや家族の尊厳を守るための看護実践の典型例をまとめたものです。

  • 1997年「検査・処置を受ける子どもへの説明と納得に関するケアモデル」の作成
  • 2001年臨床における看護実践への活用
  • 2012年~実践例の振り返りを行う看護師対象の教育プログラムを実施

小児看護ケアモデル(PNCM)24項目

実施前
  1. 担当であることを子どもに挨拶・自己紹介している
  2. 医療/看護者/親のうちの誰かが、検査・処置について、子どもに説明が済んでいるか、確認している
  3. 検査・処置があることを、子どもはいつ頃教えてほしいと思っているか、事前に子どもに確かめている
  4. 検査・処置をいつ実施するか子どもに伝えている
  5. (説明時/検査・処置時に)親が付き添うか否かは、子ども・親の希望にそって決めている
  6. 親の待機場所を子どもと親に確認している
  7. 親へ、子どもへの説明内容と方法を確認/相談している
  8. (親がいても親とは別に)子どもの目の高さで、検査・処置の目的・内容(方法/手順)を子どもに説明している
  9. 子どもが「イヤだ」と抵抗し始めた場合、ヤル気になるタイミングを待っている
  10. 子どもが恐怖感を感じないような工夫をしている
実施中
  1. 検査・処置の進行に合わせて、順々に説明したり声かけしたりしている
  2. 子どもが言ったり聞いたりしたことに、適切に答えている
  3. 子どもが泣いても押えつけずに、他の方法で対処している
  4. お気に入りのものを持参することを認めている
  5. 検査・処置から他へ向く様に子どもの気をそらしている
  6. 検査・処置が長引いた場合、途中経過を親に知らせている
  7. 医療従事者同士で検査・処置に関係ないことを談笑してしまうことはしていない
  8. まだ全過程が終了していない状況で、あたかも全過程が終了したような表現はしないようにしている
実施後
  1. 検査・処置が終わったことを、ことばで伝えている
  2. 子どもの頑張りを褒めている
  3. 「ご心配でしたね」と親の気持ちをねぎらっている
  4. 親に対して、子どもが頑張ったことをほめるように働きかけている
  5. 検査・処置後、これから守るべき注意事項を、説明している
  6. 子どもの検査・処置後の反応を確認している

小児看護ケアモデル作成と活用の経緯

「検査・処置を受ける子どもへの説明と納得に関するケアモデル」(1997)
検査・処置場面の参加観察から子どもと親の尊厳を守る倫理的看護実践の典型例を3~4歳、5~7歳、8歳以上の子どもと親それぞれに焦点をあて、採血、点滴、抜糸など検査・処置の実施前・中・後の場面ごとに39~43項目(A4版57頁)にまとめた
「検査・処置を受ける子どもへの説明と納得に関するケアモデル(原型版)」の臨床看護師への活用と評価(2001)
子どもへの説明を親と相談する、子どもの目の高さで説明する等が改善
簡易版ケアモデル(以後、小児看護ケアモデル)24項目を作成し、実践を振り返り倫理的な看護実践を促進する教育プログラムを実施(2012)
経験年数問わない9名の看護師のケアモデルの実施頻度が改善
小児に関わる看護師を対象とした子どもと家族に対する倫理的な看護実践を強化することを目的とした教育プログラム(2014~)